キャンプ場のネコたち - くじゅうやまなみキャンプ村にて -

  やまなみキャンプ村のネコ   
 やまなみキャンプ村のネコ   

 

キャンプ場で、よくネコを見かけます。


食べ物を盗む。ゴミをあさる。大抵は、嫌われ者。
けれど、中には愛らしいネコもいるのです。

 

 

 

<「山とキャンプ」はこちら>

 

<「キャンプの写真 -くじゅうやまなみキャンプ村-」はこちら>

平成24年11月17日~19日、くじゅうやまなみキャンプ村でのオートキャンプ

- 未確認動物 -

     テントサイト
     テントサイト

 

テントを立て終わったころ、サイト近くを銀色っぽい動物が駆け抜けていきました。しっぽが大きいけれど、色からすれば、狸ではないし狐でもない。

 

やはりネコかな、しかし、ここには温泉場ではない、ネコが生きていくには、とても寒く厳しい環境だけど…などと考えつつ。

 

その日、眠りについた深夜、「ピチャピチャ」と音が聞こえてくる。雨だれの音かな…、まどろみの中でぼんやりと考え眠る。

 

しばらくすると、また、音がする。徐々に意識が覚醒してくると、そうだここは家ではない、テントの中だ。何かが、テントのリビングにいる。


「野郎、うるさいぞ!!」 すると何者かが逃げていく感じ。確認しようかな、まあいいか。寒いし寝よう。

 

翌朝、テーブルの上には、ネコとおぼしき足跡が点々と…。

 

- 夕食はローストチキン -

  コールマンの焚き火台
  コールマンの焚き火台

 

2日目は、早朝から、筋湯、九重夢大吊橋、飯田高原、長者原で遊び、午後2時頃にキャンプ場に帰還。


夕食のメインは、ローストチキン。鶏を下ごしらえして、ダッチオーブンへ。焚き火台の上につり下げ、火加減を見ながら、小1時間ほどで出来上がり。


黄昏の三股山を眺めながら、チキンを肴に地酒で一杯。なかなか美味しい。

- ネコ登場 -

スタンレーのクラシックフラスコ
スタンレーのクラシックフラスコ


とっぷりと日も暮れて寒くなり、また焚き火台にマキを入れ、ソーセージを焼き、スタンレーのクラシックフラスコに入れたバーボンを、ちびちびやりながら暖まりました。

 

テントに戻り、外を見ていると、ネコがやってきたのです。こいつだな、昨夜テントの中をうろついたのは…。

 

にらんでいると、少し離れたところまで近づいて来て、

「ニャー」と挨拶。中々、礼儀正しい。

 

 

仕方がないので、残していたチキンを5メートルほど離れたところへ投げてやると、俊敏にくわえて、あっと言う間に闇の中へ。

 

しばらくすると、またやって来る。また、チキンをやると、くわえて見えなくなる。相当に警戒心が強いのでしょう。 だんだん面倒になって、残りのチキンと骨全部をテントの近くに置いて、また、バーボンを…。

 

戻ってきたネコは、今度は、その場でチキンを食べ始めました。


夜中、テント内を荒らされては困るので、綺麗に片付けて就寝しました。
しかしやはり、夜中にテント内に侵入した模様。ガサガサとした音が聞こえたのでした。

 

- ネコ再登場 -

 

キャンプの最終日、朝起きてテーブルの上を見ると、ネコの足跡。やっぱり…。

 

この日の朝食は、やまなみ牧場で買ったパンと豚肉ソーセージに目玉焼き。

 

そして、食後のコーヒーを飲んでいると、また、ネコがやってきたのです。
黙って焚き火台に近づき、しきりと台をなめている様子。何をなめているのかな? 


ソーセージの臭いのする網をなめていたのです。随分お腹を空かせているんだな、可哀想に…。

 

 

- ネコの気持ち -

 

しょうがないな~、残ったソーセージを5メートル程先へポイッと。また、離れたところまでくわえて行き…。昨日と同じです。

 

そして、3メートル、2メートルとソーセージを投げる距離を縮めていくと、やがて足下に。頭をそっと撫でると、何かとっても喜んでいる様子。


今度は、そばから離れない。面倒なので、遠くにソーセージを投げてお終いにしようと…。でも、また寄ってくる。どうも、食べ物目当てではないようです。

 

 

 

ゴロゴロとのどを鳴らしながら、前足を交互に「踏み踏み」。顔の表情からは、警戒感が消え、やがて足にスリスリ。そして、コロンと寝そべって嬉しそう。こんな場所で、人に優しくされる機会は、少ないのでしょう。

 

思えば1年前はいませんでした。まだ一歳になっていない顔、今年の春頃に生まれたのでしょう。

よく見ると、良い毛並み、目の周りは黒い隈取り、愛らしい女の子です。


しばらくの間、コロコロと足下でじゃれていましたが、突然、藪の方に目をやると駆けていきました。


見ていると、体を丸く縮め前足を揃えて、おしりを振っている。そして、大きくジャンプ。

すると、藪の中から野鳥が飛び去りました。ネコはそれを追って、見えなくなりました。

そして、それっきり、戻っては来ませんでした。

 

- 再会を約す -

 

生まれついてのノラネコならば、あんな懐き方はしないものですし、あのような毛並みの良さそうなネコが、山奥で自然に繁殖しているとも思えません。

 

おそらく、誰かが置き去りにしたのでしょう。このキャンプ場だけではなく、久住高原オートビレッジ、阿蘇いこいの村にもネコがいるのです。

きっと、同じようなことなのだろう。人間のエゴを思わずにはいられませんでした

 


長者原はとても寒いところ、もうじき、あのネコにとっては、初めての厳しい冬がやってきます。

毛はフサフサしていても、痩せていたのです。もっと早く来ていれば、もう少し食べさせてやれたのに…。  

 

「無事に冬を越すんだよ。今年は無理だけど、桃の花が咲く頃には、食べきれないくらいの肉やソーセージを持って来るから…」 

 

そう心の中で呟きながら、キャンプ場をあとにしたのです。