真空管アンプとデジタルアンプには、いくつか大きな違いがあります。
先ず、その音色です。
デジタルアンプと違って、とても優しくて柔らかい。
なので、聴き疲れしません。
次に、真空管を替えることで、音色が変えられること。
デジタルのアンプには、出来ないことです。
そんな真空管アンプの主役は、何と言っても真空管。
球(たま)あるいは、チューブなどと呼ばれます。
近年では、ロシアや東欧、米国、中国などで作られていますが、球を変えると音色も変わります。
部屋の照明を落とし、ぼんやりと赤く灯る真空管を眺めながら聴く音は格別です。
AUDIO SPACE社、Ming Da社ともに、中国上海の企業。その製品の特徴は、何しろコストパフォーマンスでしょう。
AUDIO SPACE AS-3i は、管球式プリメインアンプSAシリーズの下位モデル。
Ming Da MC-7Rは、コントロールアンプ。
AS-3iは、プリメインアンプなので、もちろん単体で使えますが、MC-7Rを通して方が、よりクリアな音色になります。
<「 後悔の3,000円中華アンプ… - Lepai デジタルアンプ LP-2020A ー 」はこちら>
真空管のことを書き始めると長くなりますので、極々簡単に述べます。
真空管には、非常に多くの種類がありますが、オーディオ真空管アンプでは、必ず「プリ管」「パワー管」および「整流管」が使われます。
【 プ リ 管 : 写真 左 J J ECC 83S】
プリ管の役目は、CDプレイヤーなどで拾われた音楽信号の電圧を増幅することです。
プリ管で増幅された音楽信号では、パワーが足りないためスピーカを鳴らすことはできません。
このため、プリ管で増幅された音楽信号は、パワー管で増幅されます。
【 パワー管 : 写真中央 electro-harmanix KT 88 EH 】
パワー管は、電力増幅管とも呼ばれます。一般的には、プリ管や整流管よりもサイズが大きく、真空管アンプで最も目立つ位置に実装されています。
【 整 流 管 : 写真 右 SOVTEK 5U4G 】
整流管は主に、交流を直流にするために使われます。
プリ管、パワー管、整流管それぞれに多くの種類がありますが、互換性があるものなら、異なる規格のものでも替えることができます。
このため、真空管の種類、製造メーカーなどの組み合わせによって、音色は、千差万別。
音を自分好み変えられる、これが真空管アンプの最も大きな魅力です。
真空管のアンプで、例えば、2本のプリ管、4本のパワー管が装着されている場合、その2本、4本の真空管は、それぞれ、マッチドペア(2本マッチ)、マッチドクワッド(4本マッチ)と呼ばれるものが使われます。
一般的に「マッチド」とは、同一規格で、かつ同一ブランドの真空管であって、販売店でエージング、測定および選別され、電気的特性が揃ったものをいいます。
このため、大抵は、真空管1本の価格より、マッチドペアの方が高く、クワッドは更に単価が高くなります。
右の写真は、ムラードEL34のマッチドクワッド。箱に電気的特性を示すシールが貼られています。
AUDIO SPACE AS-3iでは、
プリ管 ◇ 12AX7 ( ECC83 ) × 1本
◇ 12AU7 ( ECC82 ) × 2本
パワー管 ◇ KT88(又はEL34など)× 4本
Ming Da MC-7Rでは、
プリ管 ◇ 12AX7 ( ECC83 ) × 2本
◇ 12AU7 ( ECC82 ) × 2本
整流管 ◇ 5Z3 × 1本
真空管の値段は、ピンキリです。
私は、ビンテージ物などは使いませんで、普及品を使っています。
プリ管は、1本で1,000 ~ 2,000円程度、パワー管は、1本3,000円~。マッチド、クワッドなので、さらに高くなります。
コントロールアンプとメインアンプ全部の真空管の値段は、3~4万円ほど。
ロシアに東欧、米国、中国製…etc、10年以上前に、買い集めた物ばかり。時折、球を取り出して磨きます。
透明のガラス管に包まれた、細かで精緻な金属部品。
子供の頃、たまにテレビの調子が悪くなると、近所の電気屋のおじさんがやって来ます。
テレビの裏側のねじを回して蓋を外す。
でっかいブラウン管の下に並ぶ大小のガラス部品。
「真空管」って言う物なんだよ…と教えてくれました。
間近に見て、触ることができた科学技術。今は、全てブラックボックスの電子部品ばかり。
EFI、EGI …インジェクションより、やっぱり、SOLEXツイン、WEBER3連装が好き。
そんな昔を思い出しながら、球を差し替えて …
景色が変わり、音も変わる。こういうのが楽しい。
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