あまたあるホラー映画の中で、最も強く心を揺さぶり続ける作品が、この『ヘルレイザー2』である。
イギリスのホラー映画『ヘルレーザー』、原作はクライヴ・バーカーの小説『 ヘルバウンド・ハート 』(1986年)。
「幼児化傾向の著しい昨今のホラー・ムーヴィーに、強烈な刺激をよびもどしたい」と、パーカ-自らがメガホンを執った作品である。
1987年に公開されて以降、8作の続編が作られている。
<「 クライヴ・バーカー『血の本』ー 怪談とホラー vol.3 -」はこちら>
成人する頃まで、日本にホラー映画と言ったカテゴリーはなかったように思う。
子供の頃、ドラキュラやフランケンシュタインはTVの再放送で、その後、「オーメン」、「13日の金曜日」、「シャイニング」、「死霊のはらわた」、「エルム街の悪夢」などを劇場で観ていく。
現在のホラーのジャンルで言えば、先ずは、サイコにオカルト、サスペンスにSF、それからから、ゾンビ、モンスター、動物・生物パニックにスラッシャー、スプラッター、…等々。
どれも、少しばかりの恐怖を感じることはあっても、それは一時のことであった。
そんな中で登場したダグ・ブラッドレイが演じる ” 魔道士ピンヘッド ” は、決して忘れることができない、奇警かつ激烈なものであった。
世間の良識ある人たちが顔をしかめるような酸鼻きわまりない流血が、解剖学的な精緻さを持って映像化されていく。
表層はスプラッターを装いつつも、実は、人間誰しもが持つ心の奥深くにある闇の欲望を映したものである。
シリー化されたもの全てを見てはいない。
新しくなるにつれ、当初、根底に流れていたバーカーの思念から遠ざかっているように感じたからだ。
時に原作を読み、また観る。心にさざ波が立ち、わずかに鼓動が早くなる。
何と言っても、第1作と第2作である。
特に、第2作は、傑作としか言いようがない。
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