今から四十年以上も前のこと。
盟友U君とベスト電器本店のオーディオ視聴コーナーに立ち寄った。
TANNOYやJBLなどのスピーカーがびっしりと並べられ、それぞれに番号札が着けられていた。
前方にスピーカーセレクターが置かれていて、番号に対応したスピーカーの音を視聴できるようになっていた。
その時聴いたLPレコードが、今田 勝 氏の「アンダルシアの風」だった。
氏のピアノとともに、ソロで奏でられるアコースティックギターのソロがスピーカーから弾き出された。
その卓越したギター・テクニックで、若き天才ギタリストと賞された渡辺香津美氏のギターだった。
オーベーションADAMASによるクラシックな香り、甘美で艶のある音色に強い衝撃を受けたのだった。
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タンノイ、JBL、三菱 … etc
色んなスピーカーでLPを試聴したのだが、一番素晴らしく感じたのがYAMAHA NS-1000M、通称1000モニだった。
1974年発売時から高い評価を受け、ウェーデンやフィンランド国営放送局をはじめ、日本のテレビ・ラジオ局のモニタースピーカーとしても数多く使用された。
15年程前、仕事で訪れたRKBのスタジオで、まだ使われたのには驚いたし、嬉しくもあった。
発売当時、一台の価格は108,000円。
大卒初任給の手取りが、5~6万円の時代。
おいそれと買える代物ではなかった。
その後、就職して買ったのがTechnics SB-6。
1000モニの半分以下の値段。
それでもペアで9万円、一月の給料より高かった。
選んだ理由は、見かけが1000モニに似ていたから。
そしてその十年後、かなり無理をして1000モニをやっと手に入れたのだった。
その動機は、ベスト電器で聴いたあの『 アンダルシアの風 』のギターの音色をまた聴くため。
幅375x高さ675x奥行326mm、重さは31Kg、ブックシェルフと言うには大きなスピーカーだ。
30年を経た今も、大きな劣化はない。
一度、30センチウーハーを交換し丁寧に使ってきたので、今も素晴らしい音色を聴かせてくれる。
今日は、久しぶりにLPレコード『 アンダルシアの風 』に針を落としてみよう。
LPレコードならば、アンプは真空管。パワー管は、KT88に限る。
郷愁のメロディにひたってみよう。
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