一つの花に蝶と蜘蛛
子蜘蛛は花を守り顔
子蝶は花に酔い顔に
舞えども舞えどもすべぞなき
花は子蜘蛛のためならば
子蝶の舞をいかにせむ
花は子蝶のためならば
子蜘蛛の糸をいかにせむ
やがて一つの花散りて
子蜘蛛はそこに眠れども
羽翼も軽き子蝶こそ
いずこともなくうせにけれ
≪『 強敵 』 島崎藤村「若菜集」≫
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