大根役者 / ふと想起される言葉 vol. 52 

 

 

この言葉の意味には諸説ある。

 

一つは、大根は食材として利用範囲が広いが、どのように調理してもまず食あたりしない。

 

そして、たくさん食べてもアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼなど消化を促進する酵素を含んでいて、お腹をこわすことがないとがない、つまり、あたらない=ウケないからきたという説。

 

 

もう一つは、何らかの理由で役者が演目の配役を外されることを「下ろす」と表現する。

 

興行では、役者の上手い下手が観客数を左右し、興行成績に大きく影響することから、下手な役者は早々に舞台から下ろされることはよくある。

 

こうしたことから、役者を下ろすことと、大根の簡単な調理法として卸金(おろしがね)を使って大根をおろすことをかけたとする説。

 

 

二階ら興行主や金主たちは、今般の興行で、役者としては目立った実績はなかったものの、舞台監督としてよく働いてきた菅を主役に抜擢した。

 

華はない…が、まぁ、そこそこやるだろう。

上手く宣伝してやりゃ何とかなると思っていた。

 

ところが大間違いだった。

 

セリフは度々間違えるし、おまけに歌えない、踊れない。

その上、演出家の言うことも聞かない。

 

とんでもない大根役者だった。

菅が出るたびに大不評、興行成績は急落。

 

このままじゃ …  

あの大根、もう下ろすしかないか … 

 

興行主たちは、今はそう思っている。

 

 

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