修羅の国の金座布団 / ふと想起される言葉 vol. 54 

 

 

 ” あんたも、この修羅の国に来ちまったんだ。金座布団目指して、死ぬ気で頑張んな ”

 

 

議長職も務めた経験もある若い地方議員は、前に恐縮して座っている白髪頭の一年生議員にこう言った。

 

金座布団とは「議長職」のこと。

実際に、議長席に金色の座布団が敷いてあるわけではない。

 

議会人の隠語なのだろう。  

 

ー 『 修羅の国 福岡 』 ー

 

地方議員になったからには、目指すは『議長』の職。

 

地方公共団体の長と地方議会の議員は、住民の直接選挙によって選ばれる、いわゆる二元代表制だ。

 

議決機関である議会と、首長はじめとする執行機関の関係は「車の両輪」にたとえられる。

 

そうした議会の議長ともなれば、秘書や公用車が付くことが多く、一般の議員とは扱われ方が大きく違ってくる。

 

これが国政ならば「国務大臣」だろうし、内閣を組織し、閣議の主宰、行政各部の指揮・監督を行う内閣総理大臣は、豪華絢爛な「金座布団」にちがいない。

 

そんな金座布団を目指していくことは、「修羅の国」での戦いで生き残らなければならない。議長経験者の議員は、そう言ったのだろう。

 

「修羅の国」は、マンガ『北斗の拳』に登場する架空の国家。

国家や文明は崩壊し、『力』が全てを支配する国だ。 

 

福岡県では、県内に本拠地を置く指定暴力団が5つあり、暴力団同士の抗争や一般人を巻き込んだ事件が多発したことから、かつて、ネットなどで「北斗の拳」の「修羅の国」になぞらえ『修羅の国  福岡』と揶揄された。

 

実際、日本の政治の世界と、いわゆる反社会的勢力の世界は、体質的によく似ている。

 

危機事態では、その世界が持つ様々な病根が表出する。

民草が、塗炭の苦しみを味わう中、政治家、首長をはじめ、特権階級の人間たちは、

相も変わらずやりたい放題。

 

いまこそ、あらためて日本の民主主義を疑い吟味すべき時だ。

 

 

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