コロナ禍とパラダイムシフト / ふと想起される言葉 vol. 61

 

 

2月18日西日本新聞朝刊で、コロナワクチンの先行接種に関連して、新潟大大学院教授 斎藤玲子氏のワクチン接種の有効性と早期接種についての寄稿が掲載された。

 

長々と空疎な言葉が並べられている。  

しかしこの中に、少なからず驚くような一文があった。

 

 

「 新型コロナの流行で、人間としての楽しみの多くが奪われてしまった。集まること、話すこと、友人と夜明けまで飲み明かすこと、旅行に行くこと。それらを取り戻す一番の早道が、ワクチン接種なのである。」

 

 

 

  

・ 集まること、話すこと、友人と夜明けまで飲み明かすこと、旅行に行くこと。

・ 人間としての楽しみ多くが奪われてしまった。

・ それらを取り戻す一番の早道が、ワクチン接種なのである。

 

目を疑った。国立大学大学院の教授が書くことかな。

人間としての楽しみ… ?

 

先ず、斎藤氏個人の楽しみを一般化するのは良くない。

コロナ禍による減収も失業もない、階級社会の上層で暮らす人間の他愛もない不自由。

  

一方、巷では、コロナの影響による収入激減や失業が激増、自殺者も増加した。

とりわけ、もともとぎりぎりで生活していたワーキングプアがコロナ不況に直撃されている。  

 

企業への影響も甚だしい。

 

帝国データバンクが発表した新型コロナウイルス関連倒産の発生累積件数(2月19日16時現在)は、業種別では「飲食店」(167件)が最も多く、「建設・工事業」(89件)、「ホテル・旅館」(79件)、「アパレル小売店」(58件)、「食品卸」(52件)と続き、特に飲食店のほか、アパレル業や食品業(それぞれ製造・卸・小売計「食品」=117件、「アパレル」=115件)への影響が目立っている。

 

 

斎藤氏の記述は、飲んだり、遊んだり、旅行を楽しみたくても、コロナ禍によって三度の飯もままならない生活を強いられている多くの人たちがいる中で、自宅で優雅にくつろぐ動画を投稿した無神経でお気楽な総理大臣と共通するものがある。 

 

今、世界では、パラダイムシフトが始まっている。 

 

「社会がある問題に直面し、解決方法を見出せない場合、つまり危機に直面したときに、今までの物事の見方自体を変えて、新しいアプローチを施さないと、局面を打開できない段階に達することがある。パラダイムシフトはそのときに起こる」

               ( サンノゼ州立大学 ジャネット・ステムウェデル教授) 

 

 

ワクチンを接種すれば、以前の生活を取り戻せるなんて、そんな単純な状況じゃない。 

 

インバウンド、観光立国なんて、僅かに咲いた過去のあだ花に過ぎない。

いずれ、産業構造が大きく変わり、国民も意識と生活を変える必要に迫られる。

 

斎藤氏は公衆衛生の専門家かもしれないが、その分野のみの専門家にすぎない。

それにしても、西日本新聞もこのような寄稿を掲載するとは …

 

 

 

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