忖度政治だけでいいのか … / ふと想起される言葉 vol. 66

< 旧郵政省本庁舎 出典:ウィキペディア > 
< 旧郵政省本庁舎 出典:ウィキペディア > 

 

 

先だって総務省は、菅義偉首相の長男らによる同省幹部への接待問題で11人を処分した。

 

そして昨日、山田真貴子内閣広報官が辞職。

 

立憲民主党は「官僚は首相の息子の誘いだから断れない。問題の原因は首相にある」。

 

そして、「菅政権を象徴する忖度政治だ」と批判。

 

また、当時総務審議官だった山田氏に関しても「断るに断れなかったと思わないか」と。

 

確かに、2014年、国家公務員の幹部人事を、官邸の下、内閣人事局に一元化したことで、人事への官邸の影響力が格段に強くなり、官邸の意向を踏まえなければ出世できない、官邸の意向に反すれば左遷される。

 

そんなこと恐れて、国家公務員が官邸の意向に従順に従うに止まらず、過剰に「忖度」するようになったといわれる。

 

 

今回の問題は、そんな「忖度」を最大の問題とすればよいのか?

 

私が当事者ならばどうしたか。

 

先ず、何とか接待を受けずに丸く収めることを考える。

” 会食ですと色々問題が生じます。お話は役所でじっくり聞かせていただきます  ” とか。

 

どうしても無理ならば、処分も覚悟で会食する。

が、とにかく飲み代だけは何とかして払うね。

 

割り勘を払おうとしても、そう簡単には受けとらないだろうが、

丁重に、” クビになったら困るんで ” と言って、封筒に入れて渡すなどする。

 

 

かつて、上司と私は、ある人物から夕食に誘われた。

社内規程に違反するとか、反社の人間とかではないが、奢ってもらってはまずい人物。

 

一件目は割烹。次はクラブに行こうと言う。

割り勘を受けとる人じゃない。

 

しょうがない。

中州の入り口にある果物屋で、高級なフルーツを山ほど買ってクラブに持ち込んだ。

その日の飲み代の割り勘分はあったろう。

 

そして、手帳に、日時と行った店の名前を記し、フルーツの領収書を貼り付けた。

その後も、それに類することが何度かあった。

 

 

右の表は、今回の問題で接待を受けた総務省の官僚たちの金額と回数。

 

1回当たりの金額にすると、3~5千円が大半だ。

 

高級官僚が、この程度の金を惜しむとは、みっともないとしか言いようがない。

 

僅かな金で自らのキャリアに傷をつけるなんて …

何とも面妖なり。

 

 

国家公務員は、「利害関係者」との間で次の行為を行うことが禁止されている。

 

1 金銭、物品又は不動産の贈与を受けること

2 金銭の貸付けを受けること

3 無償で物品又は不動産の貸付けを受けること

4 無償でサービスの提供を受けること

5 未公開株式を譲り受けること

6 供応接待を受けること

7 一緒に旅行、ゴルフ・遊技(麻雀など)をすること

8 利害関係者に要求して、第三者に対して1~7の行為をさせること

 

※ これらに該当する行為でも、職務として出席した会議で弁当の提供を受けることや立食パーティーにおける飲食などは禁止対象から除外されている。

 

 

利害関係者からの接待は、「原則禁止。例外として自己負担なら許容。

ただし自己負担が1万円を超える場合事前に届け出」が求められている。

 

 

山田内閣広報官や谷脇総務審議官らは、とんでもない。

高級店で飲み食いした挙げ句、ごちになりますって。

 

想像するに、これまでもずっとそうやってきて、金を払うということをしてこなかった。

タダ飯、タダ酒が習い性となっていたのではないか。

 

まぁ、いずれにしたって、処分にしろ、辞職にしろ自業自得。

それでも、彼らにとっちゃさして痛くもないだろう。

 

山田氏や谷脇氏らは旧郵政省出身。

かつて、霞ヶ関の省庁には、大蔵省を筆頭に、通産、自治といった序列があった。

それは、今日も続いている。

 

長らく三流官庁といわれていた郵政省は、2001年(平成13年)の中央省庁再編に伴い、

郵便・簡易保険・貯金の各事業を郵政事業庁へ分割。

情報通信部門は自治省・総務庁と統合。総務省が発足し、郵政省は廃止された。

 

その後、高度情報化社会の進展とともに、総務省の中で、電気通信・電波・放送の権限を有する旧郵政省出身キャリアが力を持つようになったものの、その意識や矜持といったものは、本流の旧自治省キャリアと比ぶべくもない。 

 

旧大蔵省の「ノーパンしゃぶしゃぶ」等の接待汚職問題をきっかけに、2000年、国家公務員倫理規程が施行されて20年。未だこのように倫理意識の欠如した官僚がいたとは …

 

昨今のコロナ対策に忙殺され、寝る間もないほど働いている厚生労働省をはじめ、関係省庁の官僚たちは、怒り心頭だろう。心中察するにあまりある。

 

 

ところで今回の件に関して、立憲民主党副代表の辻本清美氏は、

 

「安倍政権のときは、森友(学園の問題)で財務省が振り回されて自殺者まで出したけど、菅政権でも、今度は息子さんで優秀な女性官僚が潰されたという側面もあるんじゃないか」と述べたという。

 

何言ってんのかね … 

なぜ「官僚」の前に「女性」を付けなければならない? 「潰された」 … ?

 

問題の本質は、総務省ナンバー2の官僚が、利害関係者から7万円ものタダ飯を食わせてもらったこと。

 

男性女性関係ないでしょ。 

 

そんなたわけたことばかり言ってるから、安倍一強の長期政権が続き、そして今日の腐臭漂う日本を作ってしまった。 

 

日本初の女性の衆議院議長、日本社会党委員長の土井たか子氏がご存命なら、きっとこう言ったろう。

 

 

” ダメなものはダメ ”

 

 

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