『 失敗の本質 』と『 国家の教養 』 / ふと想起される言葉 vol. 92

 

 

『 失敗の本質 』は、戦略・戦術に関するロングセラー本だ。 

佐藤優氏が取り上げたこともあって、数年前にはベストセラーにもなっている。

 

第1章は、第二次大戦における各局地戦失敗の事例研究

第2章は、失敗の本質

第3章は、失敗の教訓

 

第2~3章の失敗要因の分析及びその本質と今日的課題は、企業経営における組織運用でも活用できるものではあるが、そうした類いのビジネス本の方が解りやすい。

 

そんなことより、面白いのはジャケット裏側に名を連ねた方々。

 

あの小池都知事。

そして、政府の経済財政諮問会議の民間議員を務めているサントリーホールディングスの新浪剛史社長も。

 

新浪氏はつい先日、「45歳定年制」の発言で、” 首切りではない ” と釈明に追われた御仁だ。

 

 

 

 

 『 失敗の本質 』よりは、藤原正彦 氏の『 国家と教養 』の方が、今日の日本が抱える本質的な問題を示していると考える。

 

 

藤原氏によれば、 

 

戦後50年間の日本の繁栄を支え、「奇蹟の復興」をもたらした原動力とも言える日本型システムを、バブル発生と崩壊の真因の分析もせぬまま、一気に葬り始めた。

 

バブル崩壊と長びく不況ですっかり自信を失っ た国民の狼狽に乗ずるかのような、一気呵成 の大改造だった。

 

キーワードは「 グローバル・スタンダード」。

 

それまでは穏やかな新聞と思われていた日本経済新聞が、アメリカ帰りのエコノミスト達に共鳴するかのように突然トーンを上げ始めた。

 

成果主義を喧伝し、それまでの終身雇用を基本とした日本型経営や、株式持合いなどの日本型資本主義を、悪玉に仕立て上げ始めた。

 

 

そして、

90年代半ばから今日にかけて、金融ビッグバン、新会計基準、市場原理、グローバル・スタンダード、小さな 政府、官叩き、地方分権、民営化、規制緩和、大店法、構造改革、リストラ、ペイオフ、郵政改革、緊縮財政、商法や司法の改革、消費増税、TPP……が矢継早に登場。

 

すべてアメリカが我が国に強く要求したもの、ほとんど強制したものであり、アメリカの国益を狙ったもの。

 

一人勝ち日本を叩き落とすための緻密な戦略に沿ったものでもあったという。 

 

 

米国に、国を売った小泉に竹中。

新浪氏もそうした輩の一人ではないのか …

 

そして、『 戦後レジームからの脱却 』を言いながら、米国に貢ぎ続けた前総理と与党。

 

日本は、いつまで愚者の楽園を続けるのであろうか …

 

 

 

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