ネクタイとハンコ / ふと想起される言葉 vol. 98

< 篆書体 見本 >
< 篆書体 見本 >

 

ある会社のハンコを見て驚いた。

「○○株式会社 代表者の印」と彫ってあったのだが、これまで見たことがない書体とデザイン。

 

電子回路基板のようで、芸術的な面白さも感じた。

ハンコってなかなかいいじゃない …

 

そんなことを思った昨年9月、当時の規制改革担当大臣の河野太郎は、

「 正当な理由がない行政手続きについては、

『 はんこをやめろ 』ということを押し通そうと思う 」、こう宣言した。

 

 

 

押印をなくすだけで、デジタル化は一気に進む。その波及効果は大きいと。

河野は「はんこ廃止」をデジタル化への一里塚とし、「一点突破、全面展開」を狙ったのだ。

 

何と浅慮なことか。

ハンコは単なる道具だ。問題なのはシステムでしょ。 

 

ハンコ生産地の山梨県の長崎幸太郎知事「行政手続きでの押印省略と民間の商取引での押印やはんこの存在そのものは別問題」として、『行政手続き上の押印廃止は、印鑑証明制度の廃止を意味するものではない』と明確に表明することなどを求めた。

 

 

思い出すのは、小池百合子だ。

 

2005年6月1日、地球温暖化対策の一環として、ノーネクタイ、ジャケットなしの軽装で過ごす「クールビズ」が始まった。

 

小泉純一郎首相や小池百合子環境相らが率先して協力を呼びかけた。

05年は先進国の温暖化ガス排出量の削減目標などを定めた「京都議定書」の発効もあり、環境問題への関心が高まった年だった。

 

白いレギュラーカラーのワイシャツから、ネクタイを引き抜いただけのビジネスマンが街中を闊歩した。

 

 

そして、ノーネクタイに始まり、次はスーパークールビズ。

ポロシャツに短パンのウルトラクールビズなんてものも出現した。

 

 

ちっともクールじゃない。世の中にだらしない男どもが増えただけ。

 

ドレスコードなんてややこしいことを言うつもりはないが、それにしても、TPOを忘れちゃいけません。

 

あれから15年。

テレビや政治家は、ようやく我に返ったのか、近頃ネクタイ姿が戻ってきた。

 

小池にしろ河野にしろ、目立ちたがり屋 × 短絡的思考。

ああ、日本は末世かも …

 

 

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