新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」の急速な感染拡大に伴い、沖縄県のキャンプ・ハンセンをはじめ、岩国基地(山口県)、三沢基地(青森県)横須賀基地(神奈川県)、横田基地(東京都福生市など5市1町)、佐世保基地(長崎県)など全国各地の米軍基地で感染が急激に拡大した。
全国の米軍基地での感染拡大の背景に、米軍に特権を保障している日米地位協定によって、米軍関係者が検疫を免除されている実態や、来日する全ての米軍関係者について出国時のPCR検査が免除されていたなど、ずさんな運用も発覚した。
1月6日、全国の新型コロナウイルスの感染者数が4000人を超え、岸田総理は、沖縄・広島・山口3県にまん延防止等重点措置を適用する方針を固めた。
岸田総理は、感染拡大の原因が在日米軍にあるとの指摘に対し「現時点で感染拡大の原因、あるいは感染ルートを断定するのは難しい」と述べるとともに、日米地位協定の見直しも否定した。
岸田総理に日米地位協定の見直し … ? そりゃ無理だ。
ふと、『 戦後レジームからの脱却 』を想起した。
安倍政権発足当初から強く発信していたメッセージの1つが「戦後レジームからの脱却」だった。
戦後レジームとは、第2次世界大戦後にできあがった世界秩序のことだ。
原爆を投下され、ポツダム宣言を受け入れ、敗戦国となった日本は、先の戦争の総括を自国でしないまま、戦後はGHQの占領政策によって戦前を全否定するような思想教育を施され、憲法を押しつけられた。
この国をかたちづくる憲法や教育、安全保障などの基本的枠組みの多くがいまの時代にそぐわなくなってしまっている。だから見直しましょうと。
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戦後レジームの見直し、脱却という発想自体は非常に重要なことだ。
しかし、言葉だけ。安倍首相は、在職中本気で取り組まなかった。
戦後レジームを見直す作業には占領政策や東京裁判、さらに言えば、原爆投下の正当性の検証なども入ってくる。これらをアメリカに警戒されて冷遇されると、安倍首相は手のひらを返した。
アメリカ連邦議会で『 日本にとってアメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした 』と歯の浮くような演説をするなどアメリカに媚び、180度向きを変えて対米従属に戻ってしまったのだ。
なにがしかの事案や事件・事故が生起するたび、日米地位協定の不平等性が主張される。
しかし、日米地位協定は1960年以来、運用改善のみで一言一句改定されていない。
日本の政府も国民も、日米間の不平等な地位協定や安保条約を本気で改正したいのであれば、交戦権も軍隊も否定した日本国「憲法」をどうするのか。
ハード面、ソフト面ともに自国で自国の安全を確保できる軍事力を日本が持とうとしなければ、米国に相手にされない。属国のままである。
60年もの長きにわたり、政府も国民も現実を見ようとせず、あるいは目をつぶり、求めようとしなかったではないか。
それにつけても、沖縄をはじめ、米軍基地のある地域に住まわれている方々の心中、察するに余りある。
最後に、『 知ってはいけない 隠された日本支配の構造 』をお薦めする。
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