ー 『 深夜食堂 』再び ー

 

 

周知のとおり、『 深夜食堂 』は、深夜0時から朝の7時ごろまでを営業時間とする新宿・花園界隈の路地裏にある小さなめし屋を舞台にした安倍夜郎氏の漫画である。

 

2009年からは、テレビドラマ化され、劇場版も製作された。

現在でも、それらは様々なプラットフォームで配信されている。

 

 

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ここからは少々湿っぽい話、ご容赦を。

 

かつて、両親の世話のため、毎週末、実家に戻った。

車で、片道1時間半ほどの道程。

 

ある日、エイトビートの曲を聴きながらの運転だったためか、法定速度をかなりオーバーし、パトカーに停められてしまった。

 

調子のいい曲はいかんな …

 

で、以後、当時 amazon prime videoで無料配信されていた『 深夜食堂 』をスマホで聴きながら運転することにした。

 

オープニングでは、鈴木常吉氏の切ないメロディ『 思ひで 』が流れる。

 

♪ 君が吐いた白い息が 今ゆっくり風に乗って  …  ♪

 

1話は30分ほどで、片道3話を聴く。帰りもまた3話聴く。

もちろん、スマホの画面は観ず、セリフを聴くだけ。

 

そんな生活が数ヶ月続いた。

 

 

やがて両親は、相次いで旅立った。

 

できるだけのことはしたつもりだったが、もっと世話をしてやれたのでは …  

胸中には、悔いばかりが残った。

 

『 深夜食堂 』を観ると、そうした思いが蘇る。

で、漫画もDVDも仕舞い込んだ。

 

あれから何年が過ぎただろうか。

 

先だって、久しぶりに箱から漫画本などを取り出した。

改めて思う、表紙の色とデザイン、何ともいい。

 

小豆(あずき)、枯茶(からちゃ)、鶯茶(うぐいすちゃ)、菜種油(なたねゆ)…

まさに「わびさび」、和の色だ。

 

この物語によく似合う。

 

著者のセンスか、それとも小学館のセンスか …

いずれにしろ、好きだな。

 

近頃じゃ、色を表現する言葉も、基本の12色がせいぜいって人も少なくないだろう。言葉が忘れられていく中、人の心のひだも薄くなっていく気がする。

 

それにしても、まだまだ続くコロナ禍。

 

コロナ対策認証店か … そこかしこがアクリル板で間仕切られた空間。

『 深夜食堂 』のような店が、世に戻る時はくるのだろうか …

 

明治生まれの祖父は、往時を懐かしんだ。

私もまた、過ぎし時代を懐かしむ年になったか …

 

『 深夜食堂 』、また浸ってみよう。

 

 

 

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