続くコロナ禍、ジョン・ロールズの『 無知のヴェール 』と菅直人の『 最小不幸社会 』 / ふと想起される言葉 vol. 107

 

 

白木蓮が落ち、桜が散ると、ハナミズキが咲く。

 

人の世がどれほど無常であっても、自然の営みは変わらない。

 

コロナ禍の出口は … ?

 

感染拡大防止対策と経済活動の両立か …

 

難しい話しだ。

 

人知れず、その惨禍に苦しむ人々。

 

ベンサムの功利主義『 最大多数の最大幸福 』ってことか …

 

 

 

2010年6月、民主党と国民新党による菅連立内閣が発足した際、菅直人総理は『 最小不幸社会 』を政治理念、政治観として掲げた。

 

当時、自民党の小池百合子氏は代表質問で、「 否定形ではやる気が起きない。『 最大幸福社会 』を実現すべきだ 」と反論した。

 

これまで、歴代の首相は様々な政治理念やスローガンを掲げてきた。

 

安倍総理が喧伝したのは「 美しい国、日本 」。

けれど実相は「 モリ・カケ・サクラ 」、「 薄汚い国、日本 」だったが …

 

菅義偉総理は「 自助、共助、公助 」。うすっぺらなスローガンだった。

 

 

 

 

菅直人総理の『 最小不幸社会 』の出所は、アメリカの哲学者ジョン・ロールズの「正義論」にあると言う人がいた。

 

「正義論」の中で、ロールズは、まず「 原初状態 」における人々の振るまいを考えた。

 

ロールズの言う原初状態とは、人々は『 無知のヴェール 』で覆われている状態をいう

 

この『 無知のヴェール 』は、自身の位置や立場について全く知らずにいる状態を意味する。

 

一般的な状況はすべて知っているが、自身の出身・背景、家族関係、社会的な位置、財産の状態などについては知らない、富裕層かもしれないが、生存できるか分からないレベルの貧困層かもしれないという仮定である。

 

このような原初状態では、人々は「 自分が最も不利な条件で生まれ落ちた可能性 」を考えて、社会秩序を選ぶとロールズは考えたのだ。

 

簡単に言えば、「 もし自分が最貧困層だった場合を考えると、不平等や格差がない社会秩序を選ぶはずだ 」ということだ。

 

 

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菅直人総理の失政・迷走は枚挙に暇がないが、政治理念と言うならば、安倍・菅両氏より余程それらしい。

 

それにしても、今の日本にジョン・ロールズ氏の著作を読んだ政治家どれくらいいるだろうか。

 

いっぺん、政治家(屋?)連中に、『 無知のヴェール 』を掛けてみたいもんだ。 

 

 

 

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