ー この世はすべて舞台、 男も女も人はみな役者に過ぎない ー

 

 

DVDを整理したら、『 シェイクスピア映画大全集 』というのが出てきた。

 

あ~、昔こんなの観てたな …

 

ハムレット、リア王、マクベス …

 

シェイクスピアの言葉には、名言と言われるものが数多い。

 

 

” この世はすべて舞台、 男も女も人はみな役者に過ぎない ”

 

これもその一つ、『 お気に召すまま

』に登場する前侯爵ジェイクイズの言葉だ。

 

 

  

小・中・高、そして大学。それと知らず演じる。

勤め人の時代、若手、中堅、管理職、ひたすら演じた。

 

世間、家庭、主役、脇役、端役 … 人それぞれにキャストは異なる。

そして、自分のその時の舞台を客席から観ることはできない。

 

降りたと思っていた舞台だが、まだ続いているのか …

観客がいないというだけなのか …  ふと思う。

 

前侯爵ジェイクイズの言葉は、今の私にはちょっと切ない。

 

 

歌の歌詞にも、『 舞台 』はよく登場する。

 

サザンの『 マンピーのG★SPOT 』には、

 

”  Ah  Woo 浮世は舞台 メケメケの世界  … " と。

 

ここでのメケメケの意味はよく分からない。

フランスのシャンソン曲『 メケ・メケ 』では、” だけどそれがどうしたの ? ” の意味だという。

 

これだと、かなり達観した意味になる。

 

まぁそれはそれとして、久しぶりにシェイクスピア観てみるか …

 

 

 

「 ー  ふと想起される言葉  vol. 2  ー はこちら>

 

 

 

 

 

ー 前侯爵ジェイクイズの言葉 ー < シェイクスピア全集 西ヶ廣渉 訳 > 

 

この世は全て舞台だ。男も女も、あらゆる人間は役者に過ぎない。それぞれ退場もあれば、登場もある。

 

ひとりの人間は生きている間に色々な役を演じ、その全幕は七つの時代から成り立っている。

 

最初が赤ん坊、乳母の両腕に抱かれて、むずかりながら泣き喚く。

 

お次は不満気な学童時代。

鞄を背負って、顔は朝の太陽に照らされ、カタツムリのようにのろのろと、嫌々ながら学校に行く。

 

続いて、恋人時代。

フイゴのような溜息ついて、悲嘆に満ちた歌を作り、愛する女の眉に捧げる。

 

お次が兵隊時代。

奇妙な誓いで一杯になり、髭はレオポルドのように立派、名誉を気に掛け、喧嘩早いことこの上なし。大砲の筒口にも、泡(あぶく)のような名声を求める。

 

次に、裁判官時代。

膨れ上がった腹の周りには、賄賂の鶏が一杯。眼光あくまでも厳しく、髭は正式に切り整え、金言名句と現代常識をもってして、何とかこの役をやり遂げる。

 

第六の時代は、様子変わって、痩せ衰え、スリッパ履いた間抜けな老人。

鼻には眼鏡、腰には巾着、若い頃から取っておいたズボンは、縮んだ脛(すね)には大き過ぎ、男らしかった美声も、今では子供のような高い声に戻り、ひゅーひゅー、ぴーぴー、音するばかり。

 

そして、いよいよ最終場面。

この不可思議で波瀾万丈の生涯を終えるのは、第二の赤ん坊にして全き忘却。

歯なし、目なし、味なし、何もなし。